しばらく当ホームページへの屋上菜園栽培近況報告ができておらず申し訳ありませんでした。今般投稿するものは、この9月、ルミネ北千住店における屋上菜園の栽培状況と感想などをまとめたものです。。。以降、実施日ごとに細かく投稿する予定です。乞うご期待?!
技術管理部会長
ルミネ北千住店屋上菜園栽培チーム責任者
阿部 義通

(9月1日)
9月の第1週は曇り空が続くとの天気予報です。
各地で局地的集中豪雨が大きな被害を出しています。農家の方が田圃に川の水が流れ込み、冠水したのを見ながら、「この1年の努力もこうなってはおしまいだ」と言っていましたが、以前冠水して倒伏した稲を農家の方が黙々片づけているところを見たことがあります。農家の人たちの胸中が痛いほど伝わってくるような光景でした。
さてルミネ北千住店では8月28日(木)は雨降りでしたが、ブルーテントを張って社内納涼祭を実施したとのことです。スイカは好評だったとのことでした。枝豆、トウモロコシの状態は分かっていましたが、黒スイカ(キャンノンボール)については完熟し大丈夫とは思っていましたが、黒スイカは中身を見ていませんでしたので正直ホッとしました。
スイカはある時期迄人工授粉をして、毎回孫ツルを整理していましたが実が3個以上は付きませんでした。人工授粉してもすぐに雌花が落ちてしまうのです。それでやり方を変えることにしました。「すこし蔓をいじりすぎたかな」との反省です。
そんな思いもあり、暫く手をかけないで様子を見ることにしたのです。ちょっとした勇気を求められる決断でした。それから1週間後、小さな実が次々とつき始め、最初の3個が最終的には全部で18個となりました。恐らく蜂が人間の代わりに授粉してくれたのではないかと思います。これは栽培チームにとっては本当に嬉しいことでした。
昨日スイカの蔓の片付けをしていましたが、一番長い蔓(この先に一番大きな黒スイカの実がつきました)は全長が6mもありました。通常スイカは15節~20節の間についた雌花に授粉して実をつけるというのが基本なのでしょうが、これは明らかに20節をはるかに越えていました。
またスイカの根を堀上げてみると根株の大きさ、根の張り方がそれぞれ違います。スイカの畑の整地をしながら、苗の風除け、子蔓の3本仕立て、蔓の方向を誘導する割り箸とガイドワイヤー、土に敷き詰めた稲藁などを除きました。
しばし感慨に浸ったことです。そして「スイカよ、ありがとう」でした。
都市出版の9月号で、「特集 東京発 とれたての野菜」には東京 世田谷区等々力の大平農園の記事と併せて、都会のオアシス ビルの菜園を拝見のページで六本木ヒルズ、赤坂ため池タワー、アークヒルズの屋上菜園に加え銀座松屋の屋上菜園も紹介されています。
東京の真ん中で、ビルの屋上で野菜を育てることの可能性と意義を改めて考えさせられます。そしてどのように可能性を拡げ、意義を高めて行ったら良いのか、と。
江戸っ子も確かにいるでしょうが、東京は地方出身者が集まって造っている何百という村の色を持った町でもあります。また多くの外国人が住んでいる町でもあります。常に変化して止まない町です。多様性に満ちた魅力ある町です。しかし余りにも緑が少ない町でもあります。
野菜には緑化効果と同時に人を集めるイベント効果があります。このイベント効果を分かりやすい形で拡げていくことが普及のためには大切なことではないかと思います。イベントはハレの日、「祭」の場でもあります。
昨年秋、屋上で刈った稲を干しました。刈った稲の前に佇んでいる若い女性がいました。
聞いてみるとルミネの販売員とのこと。休息時間を利用して屋上に上がってきたら、稲が干してあるのを見て、「思わず故郷を思い出しました。なんだかホッとします」
そう言って元気に職場に戻っていきました。
![]()
また家庭では一家団欒の食卓回復にもきっと役に立つことでしょう。家族で野菜をベランダあるいはルーフバルコニーで一緒につくれば家族皆で囲む食卓の会話も弾みます。
荒き目が濁流見据え水見舞 香川 鮎郎
(9月19日)
今週は16日も雨、19日の今日は台風13号が接近し、雨模様ですので作業はお休みしました。1週間作業をお休みしたのは初めてです。
現在ルミネ北千住店ではサツマイモとイチゴの2種類だけになっています。23日(火)には秋ジャガを植える予定です。(天気が良ければですが)植付けのタイミングが少し遅くなっていますが、ジャガイモは土が乾いていた方が良いので、無理は避けたいと思っています。
これからの栽培計画ですが、
現在空いている区画は
第一区画
第二区画
第三区画
の3つです。
ルミネさんとの栽培契約では後残っている野菜はサツマイモだけです。
今後の野菜は以下を予定しています。
第一区画 イチゴ
第二区画 秋ジャガ
第三区画 イチゴ
第四区画 辛味大根など大根、カブ類、玉葱など
*連作障害を避けるため、実際は現在第四区画のイチゴを第三区画に移したいと思います。
屋上菜園の運営をしていて、やはり「必要だな」と感じるのは、地元の種苗店に定期的に顔を出し、今どんな苗が出てきているのか、把握しておくことです。無くなる時にはサーッと店頭から消えてしまいます。また直接野菜の苗を生産している農家の方達との繋がりも大切です。いろいろな情報が入ってきます。
植えるのも買うのもタイミングが大切、ということですが、農作業は全ての点でタイミングを逃さないことが要求されます。
旧約聖書の伝道者の書に次のような言葉があります。
「天の下では、何事にも定まった時期があり、すべての営みには時がある。・・・・植えるのに時があり、植えた物を引き抜くのに時がある。」
私達現代人は本来の「時」の感覚を鈍らせてはいないだろうかと、ちょっと考えさせられます。一方でベンジャミン・フランクリンが言ったとされる「時は金なり」、つまり時の経済的側面が現在では余りにも強調されているような気もします。
日本文化の特質は「時の感覚」と「間の感覚」にあると私は考えています。以前「間」について少し研究したことがありますが、この感覚はどうも欧米の人達には無さそうです。「間抜け」という言葉がありますが、それだけ日本人は「間」を大切にしてきたのでしょう。
屋上菜園に限らず露地の栽培でもタイミングが重要です。
私の畑では明後日の日曜日は遅れを取り戻すために一日農作業となりそうです。
「お父さん、頑張って。やること沢山あるのよ!」家内の言葉にはなぜか重みがあります。今度の日曜日には積んでいる本を読もうかな、と思っていた矢先の一言でした。
まろび寝の小さき母や夜の秋 福田 蓼汀
(9月23日)
天候が変わりやすい日々が続いています。
ルミネ北千住店では23日、1週間ほど遅れましたが、秋ジャガの種芋の植え付けを行いました。
23日は祝日ということで一般開放日。午前10時からの開放ですが、12時近くになってからお客さんが次々に屋上に上がって来られました。
お年寄りが家族と一緒に野菜畑を見たり、子供達連れのヤングファミリーが芝生の上で遊んだり、皆楽しそうでした。われわれ栽培チームのメンバーも俄か「一級屋上菜園ガイド」になって菜園に来られた方達を「接客」しました。
若いお母さんが「ウチの子供がルミネのビルの保育園に行ってて、屋上の野菜の話をしてくれるんですよ。楽しみにしています」と嬉しい言葉。
また「屋上でも野菜ができるんですね。私の両親は北千住に住んでいるんで、話してみようかしら」と親思いの娘さん。
若いカップルがデート気分でやってきて「今、何をつくっているんですか。」と笑顔で聞いてくれます。
現作業は火曜日と金曜日の午前中にやっていますが、月1回位は土曜日とか日曜日の午後作業し、併せてお客様に菜園についてご案内できればと思います。
やはり菜園は人気があるようです。
大江戸野菜研究会の皆さんも屋上菜園ガイドに加わりませんか。今なら誰でも「一級屋上菜園ガイド」です。将来は検定制度になるかもしれませんから、お早めに。また大江戸野菜研究会の活動を多くの人達に知って貰う良い機会です。
23日は屋上温度30℃、暑い日差しの中での作業でした。
あかあかと日は難面(つれなく)もあきの風 芭蕉(奥の細道 <金沢>から)
(9月26日)
26日は総勢5名で作業を行いました。いつもは3名での作業ですが今回はコネクトさんから2名が応援に来てくださり作業に参加。当初は第一区画の天地替えと土の篩い掛け(栽培チームでは最近この篩い掛けを「土の裏漉し」と言っています)を一緒にする予定でしたが、25日の夜、東京農工大の荻原教授から電話があり、「明日午前中なら時間の都合が何とかつくので北千住ルミネに行けます」とのことでした。
そこで、急遽作業内容を変更、土の天地替えからイチゴの定植作業に切り替えました。
荻原教授の指導の下、イチゴ定植の作業開始です。
第四区画のイチゴの約1/4が枯れていましたので、気になっていました。荻原教授に
よれば「炭疽病に罹って枯れている」とのことでしたので、枯れた部分のイチゴを全部
取り除きました。炭疽病は細菌性で、周囲に拡がっていきますので、危ないところでした。
荻原教授にアドバイスを頂きながら、5名全員で第四区画の残り3/4の元気なイチゴの中からリード部分の苗を選びだして、第3区画の4本(1本 6M)の畝に25cm間隔に定植、第一区画の同じく4本の畝に定植。
<荻原先生による定植要領のご指導>
![]()
クラウンの大きさを確認し選びながら、土に埋まらないよう、そしてリードの向きに注意しながら、しかも中腰の姿勢での作業が続きました。
皆で声を掛け合いながら、青空実習は午後1時に終わりました。約3時間の作業でした。
リードもポットに根付けしたものと、直接土に根付いたものと2種類ありましたので、
後で花の付き方、実の付き方を比較する目的で、分けて定植しました。どのような結果になるか楽しみです。
いろいろなケースを試し、屋上菜園に最も適した事例を見つけていきたいと考えています。
定植した苗は全部で200本以上となりました。
今年の3月19日に購入した苗数は40でしたので、約5倍に増えた計算になります。
イチゴの種類はベルルージュ。露地栽培に適した種類で、収量性が高く、果形の揃いが
良く、果実が硬く日持ちが良いなどの特性を持っているとされています。
品質面の中で特に香りが素晴らしいことを挙げておきたいと思います。
今年5月下旬、ルミネの屋上菜園は何とも言えない甘く爽やかな香りで包まれて
いました。来年の5月、素晴らしい香りが屋上一杯に広がることでしょう。1000近い
花が咲き、鮮紅色の美しい実がつくはずです。今年は約200粒程の収穫でした。
これからイチゴは花芽の形成後、秋の深まりとともに休眠に入ります。休眠開始は
10月中旬から始まります。
休眠は厳しい冬を乗り切るための自衛手段であり、地に這った姿で寒さを凌ぎ、地下部の
根では養分を蓄え春に備えます。
今年の寒さがどの程度になるか、分かりませんが栽培チームとしてはマルチングをする
ことを予定しています。
最後に懇切丁寧な指導をしてくださった、荻原先生、ありがとうございました。
現場で教えて頂くのが一番身につきます。これからもよろしくお願い致します。
さて曼珠沙華が咲き始めています。京都のお寺の入り口の門柱に
仏とは解(ほど)けることなり曼珠沙華
という句が書かれているそうです。
私事になりますが、昨年10月に突発性難聴となり、左耳が聞こえなくなり、その後
治療を続けていますが、目覚しい回復には到っていません。「無理なのかな~」
と思いながらもやはり不自由ですので、何とか治りたい、そんな願いを持ち続けて
います。
一昨日日野原重明先生の「生き方を聴く」という講演会に行き、新しい気持ちになりました。
耳が良くなりたい、その気持ちは気持ちとして、その執着を解き、聞こえない耳で心の声を聴く、生とし生けるものの声を聴く、そのような生き方が私にもできないものか、と。
私は屋上菜園での栽培をしながら、今まで野菜の声を聞こうとしてきました。露地とは全く条件が異なる屋上です。屋上野菜には屋上で生きる、生き抜いていこうとする野菜の思い、声があるのではないか・・・そう思ってのことです。
曼珠沙華の句、そして日野原先生のお話をキッカケにして、これからはその思いを更に深めていけたらと願っています。
花には
散ったあとの
悲しみはない
ただ一途に咲いた
喜びだけが残るのだ
(坂村 真民)
阿部










